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21/05/11
厚労省、改善基準で作業部会始動 拘束時間などが焦点
厚生労働省は4月30日、改善基準告示の改正を議論する有識者作業部会を開き、具体的な見直しを開始した。今秋には昨年度に続き、ドライバーの労働状況を把握する実態調査を行う。結果を踏まえ、来年中に結論を示す方針だ。
作業部会はトラック、バス、ハイヤー・タクシーの各モードに設置。それぞれ労働者、使用者、大学教授から代表者2人ずつの計6人がメンバーとして参加する。
トラックでは公益代表として、法政大学大学院の藤村博之教授、立教大学の首藤若菜教授が参加。使用者代表からは全日本トラック協会の馬渡雅敏副会長、日本通運の赤間立也執行役員が、労働者代表からは、交通労連の貫正和トラック部会事務局長、運輸労連の世永正伸中央副執行委員長がメンバーに入る。
改善基準告示の見直しに向け、トラックでは10月に行う実態調査の結果を基に具体的な内容を決める方針だ。対象期間は今年3~9月で、約1400社の運送企業と、8000人以上のドライバーに、労働時間の現状、改善基準告示の認識などを調べる。厚労省は昨秋にも同様の調査を行っており、新型コロナウイルスの影響も把握しながら、改正内容を検討する。
連続運転、休息期間も意見
今後の議論では特に拘束時間、連続運転時間、休息期間の見直しが焦点の一つになりそうだ。拘束時間では4月23日に開かれた専門委員会で、労働者代表が過労死防止の観点から「休日労働3300時間にしてほしい」と言及。使用者代表は「(2024年4月適用の)年960時間の残業時間の枠を意識した上で、告示を守れる制度に見直すことが必要」「休日労働をどう捉えるかが今後の争点」とする意見が上がった。
連続運転時間では、使用者側が「デジタルタコグラフを1分でも超えるとオーバーになるような運用は見直してほしい」「特に予見されない遅延などの不可抗力は十分な検討が必要」と指摘。急速危難については、日勤の配送と長距離運行では勤務実態が異なることから、労働者側が「運行種別により休息の考え方を変えてもよいのではないか」とした。
厚労省は各作業部会の意見を基に、新たな改善基準告示を定める考え。来年12月にも告示改正と公布を行い、24年4月に施行する方針だ。