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21/04/20

シベリア鉄道輸送実験、欧州側で追跡ミス

 昨年11〜12月にロシアのシベリア鉄道を使って行った、日本の港から欧州の倉庫までの貨物輸送実験で、欧州側で別の鉄道に積み替えた貨物の追跡ができず、欧州側の駅で貨物の引き取り遅延も発生していた。国土交通省が3月30日に実験結果を報告した。

 実験はロシアと連携。2019年度に続き、日欧間で行った。物流企業と荷主が参加した15の実験の平均輸送コストは船の約2・3倍。それでも従来のようにコンテナ1本のために列車を仕立てず、割引運賃が適用される列車1編成借り上げでの混載、ロシア側の補助金適用で19年度の実験よりコストが抑えられた。
 結果を踏まえ、海上コンテナ不足、航空便数減少の影響回避へ、シベリア鉄道の利用検討の余地があると、物流企業と荷主の双方が判断した。

 一方、欧州側の鉄道駅での貨物情報確認に課題が見つかった。日本の各港→ロシアのウラジオストク港→ウラジオストク駅→ベラルーシのブレスト駅の輸送は、船社が提供するウェブ上の貨物追跡画面から情報が入手できた。だが、複数の実験でブレスト駅から、別の欧州側の鉄道に積み替えを行った欧州内の鉄道輸送の貨物追跡が船社の画面で行えず、欧州側の鉄道オペレーターへ問い合わせが必要だった。
 中には、積み替えた貨物が欧州の駅に予定より早く到着したが、事前の到着通知が船社や鉄道オペレーターからなく、車両手配が間に合わず、貨物の引き取りが遅延したケースも。国交省は「ロシア側と課題を共有しており、対策を検討する」としている。