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21/04/14

IT点呼、対象拡大へ取り組み開始

 国土交通省は4月から、IT点呼の対象拡大に向けた検討を始める。年度内には運送企業の提案を基に、さまざまなIT機器を使って遠隔点呼を行う実験を実施。結果を評価した上で、高度な点呼が可能な機器や運用要件を定め、現在条件とする優良企業以外も広く導入できる環境を整える。
 4月から始まる実験にはバス、タクシーを含め計7社が参加。トラックでは、ボルテックスセイグンと三菱電機ロジスティクスが実験を手掛ける。国交省は上期と下期に分けて実験を行う予定で、IT機器を使ってもなりすましの防止や、営業所間での情報共有などを中心に効果を検証する。
 トラック2社の実験では、グループ企業のドライバーに対し、同じグループの別企業の運行管理者が、点呼時の状況に応じて適切な判断、指示を行えるかを検証する。ボルテックスセイグンは自社の営業所以外に、子会社の営業所でもIT点呼を実施。静脈認証により、運行管理者とドライバーのなりすましを防ぐシステムや、体温などの健康データからドライバーに異常がないか判断するシステムなどを使い、問題なく点呼を行えるかを確認する。
 三菱電機ロジは、子会社のリョーウンエキスプレスと、MDロジスフィールドサービスの間でIT点呼を導入。点呼時にドライバーの顔写真を自動保存してなりすましを防止するほか、運行管理に必要な情報をサーバーで保管し、営業所間で共有するといった取り組みを行う。ボルテックスセイグン、三菱電機ロジのどちらの実験も、システムだけでは法令上の課題があることから、国交省と話し合った上で、必要な措置を講じている。
 今後、国交省は実験の評価方法を検討し、6月ごろにも各社に内容を評価をしてもらう方針。下期も企業を追加しながら実験を続け、年度内をめどに機器性能などの要件を固めていく。