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21/03/23

経産省・国交省、初の後続無人走行に成功

 経済産業省と国土交通省は2月22日、新東名高速道路でトラックの後続無人隊列走行実験を行った。先頭車のみ有人の3台が隊列を組んで約15キロメートルを走行し、問題なく走りきった。一方で、隊列に一般車が割り込むと後続車が道路上で停止してしまうなどの課題もあり、来年度以降は人の運転が不要な自動運転レベル4を視野に、さらなる技術開発を進める。

 実験は静岡県内の遠州森町パーキングエリア―浜松サービスエリア間で実施。先頭車のみドライバーが運転する3台のトラックが、約9メートルの車間を保ち時速80キロメートルで走行した。後続車の助手席には保安要員が乗車し、本線への合流などでも問題はなかった。

 車両にはカメラやGPS、レーザーで対象物との距離、方向を確認するライダーを搭載し、後続車が先頭車の軌道から50センチメートル以上ずれないように制御。車両は通信でつなぎ、先頭車のハンドル操作、アクセル、ブレーキを即座に伝えることで、人が2台目以降の車を運転しなくても自動で追従した。急ブレーキをかけても車間が2メートルほどしか縮まないという。

 隊列の全長が60メートルになるため、先頭車にはカメラ、ミリ波レーダーで周辺を確認できる仕組みを導入し、車線変更時にシステムが危険と判断すれば警報を鳴らす。一部装置が故障しても走行可能な場合は、時速50キロメートルまで減速して安全を確保。重大な故障で隊列の維持が難しい場合は、後続車が安全な速度まで減速し自動で停止する。

商用化には課題も多く

 停車中、隊列の間に人を検知した際は発進できないように設定。走行中に割り込もうとする車には後方の表示機で警告する。割り込んでしまった場合は、システムが危険と判断し、後続車が減速した上で自動停止する。

 トラックの後続無人隊列走行は成長戦略の一環で、16年度から技術開発を続ける取り組み。トラック業界のドライバー不足解消に向け、政府は25年度以降に商用化する目標を掲げている。

 一方で、実現には車両価格を安くするための対策が必要な他、いまの技術では雪や霧といった厳しい環境では走行できない課題も。また、重大な故障などで隊列を維持できない場合、道路に停止した後続車をどう動かすかの解決策も見つけ出さなければならない。

 このため、経産省と国交省は来年度も、さらなる技術開発を推進。自動運転レベル4のトラック実現に向けたプロジェクトを計画している。

休憩施設では車間5mを維持し、速度に応じ車間を広げていった