• 行政・業界団体

21/03/09

海コンの情報伝達、来年度国が実態調査へ

 国際海上コンテナ輸送の安全確保に向け国土交通省は来年度、荷主や取次企業、元請け企業による情報伝達の実態を調査する。コンテナを陸送する運送企業に必要な情報が伝えられていないケースがあるためで、同省は現状を把握することで検討の材料とする。
 海コンを陸送する際、国の安全輸送マニュアルでは、運送企業がドライバーにコンテナ情報を伝達できるよう、荷主や取次企業、元請けは契約書類にコンテナの重量、品目名、こん包の種類といった情報を記載し、伝えることを求めている。
 一方、国交省の調査では、荷主や取次企業などからコンテナ情報が届かない実態も明らかに。

要請に返答なしのケースも

 例えば、輸入コンテナの運送依頼書に必要な情報がない場合、トラック協会会員の18%、非会員の19%が委託先に「情報を入れるよう話していない」と回答。理由を尋ねると、「取次企業に質問しても分からないと言われる」「荷主に伝達をお願いしているが返答がない」との答えが目立った。輸出コンテナも傾向は同じだった。
 運送企業が荷主、取次企業、元請けから情報が伝達されないことを問題視しているとの結果を踏まえ、国交省も対策の検討が必要と判断。来年度はコンテナ輸送の委託先に対し、安全輸送マニュアルの周知状況や、情報伝達時にどのような課題があるかなどの実態を調べ、有識者会議で対策を議論する。輸入コンテナは海外から入ってくることから国際的な対策ができないかも検討する。
 国交省によると、2020年に起きた海コン車の横転事故は前年比3件減の5件。近年、事故件数は減少傾向にあるが、一度発生すると大事故につながることから、同省は対策を強化している。