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21/03/09

標準的な運賃、届け出は全国で4・7%

 国土交通省によると、全国の運輸局が所管する一般貨物運送約5万6990社のうち、4・7%しか標準的な運賃の届け出を済ませていないことが分かった。新型コロナウイルス流行の影響もあったとみられ、届け出が進まなかった。
 標準的な運賃は、2018年12月に議員立法で成立した改正貨物自動車運送事業法の柱の一つとして、国土交通相が告示したもの。貸し切りについて、全国10ブロックごとに距離制、時間制で設定した、運送会社の法令順守と持続的経営の目安となる運賃で、活用するためには各地方運輸局への届け出が必須だ。
 今年1月末までに国に届け出を行ったのは、全体の4・7%に当たる2676社=。北海道の届け出率が最も高く13・4%(449社)。四国11・3%(241社)、北陸信越10・9%(293社)と続いた。最も低いのは東北の0・6%(24社)だった。

運送企業、荷主PRを推進

 2月26日の会見で、祓川直也自動車局長は「地域でバラつきはあるが、提出率を高めたい。まずは、標準運賃を基に運賃計算し、荷主へ交渉してもらうという標準運賃の仕組みを運送企業に理解してもらう必要がある」と話した。新型コロナ流行で昨年は運送会社や荷主へのPRが難しかったが、今年はリーフレット配布を引き続き行い、粘り強く推進する方針だ。
 経済産業省や農林水産省と連携し、荷主へのPRにも取り組む。トラックドライバーの長時間労働改善と適正取引を議論する中央協議会で標準運賃の届け出状況を共有することも検討している。


~解説~「いまの動きが重要に」

 標準的な運賃の届け出率が初めて公式に示された。全国平均が4・7%だったことに関し、国土交通省は「告示から1年という期間を考えると、数値は高くない」とする半面、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う厳しい経営環境では致し方ないとみている。
 荷主の業績が悪化し、適正運賃・料金交渉が難しい中、国交省は運送各社に対し、自社の経営を見直す期間としてほしい考えだ。秡川直也自動車局長は1月の会見で、「経営を自己診断する好機」と指摘。経営を分析した上で標準的な運賃と比較し、自社に何が足りないのかを考えることはできるとする。
 一方、業界ではさらなる周知が課題。全日本トラック協会は昨年、国交省と解説書を作成しセミナーで普及を図ってきたが、中には改めて運賃・料金の届け出が必要なことを理解していない企業も。国交省は「導入するか否かは各社の判断で、行政から届け出を求めることはできない。企業単位で勉強してほしい」と話す。
 標準的な運賃の普及に向け、全ト協は適正化事業実施機関による巡回指導の機会などを通じ、周知する方針。国交省も地方運輸局を中心に取り組む考えで、「運べない事態が起きてからでは手遅れ。いまから行動に移してほしい」と呼び掛けている。