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21/02/17

ドライバーの脳検診、緊急性有無で対応に差

 脳検診を受診したドライバーが「異常所見の疑いあり」と診断された場合、緊急性の有無や結果の程度で、運送企業の対応が分かれていることが国土交通省の調査で分かった。特に異常所見の診断を受けたが、緊急性がないため、ドライバーにその後の検査・受診指導などを実施していないケースもあり、同省はモデル事業を通じて情報を収集しつつ対策を検討する。
 モデル事業は脳疾患対策として、国交省が2018年度から行っている取り組み。スクリーニング検査を推進したいトラック、バス、タクシー企業からモニターを選定し、受診から、その後の脳血管疾患の発症や治療の有無、勤務制限などを3年間かけて調査する。18年以降、毎年モニター企業を選び、これまで約1万人のドライバーが脳検診を受診している。

 

所見で企業対応にバラつき  

 19年度に受診したドライバーのうち、初診で緊急性のある異常所見と診断されたり、緊急性は指摘されなかったが、後の精密検査で緊急性のある異常所見と分かったのは27人。その後、対象ドライバーが所属する企業の対応を追跡調査したところ、全体の85%が受診から半年以内に乗務制限や配慮、定期的な面談をはじめとする健康管理などを行っていた。
 一方、緊急性のない所見の場合は、企業の対応が分かれる実態も明らかに。例えば、3カ月以内の再検査が必要と診断されたドライバー200人のうち、その後6カ月以内に精密検査を受診した人は53%にとどまり、4割強は未受診だった=グラフ。
 1年後に再検査が必要とされたドライバー(630人)の場合は、全体の5%しか企業から検査・受診指導、乗務制限や配慮などを受けていなかった。
 企業の対応のバラつきは国交省もポイントとみており、モデル事業で脳検診の受診結果と、企業の対応などを調査し、対策を検討する方針。