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21/02/02
国交省・次期安全プラン案、重傷者など新指標追加
国土交通省は1月22日、事業用自動車の安全対策を検討する有識者委員会を開き、2025年を最終年とする5カ年の事業用自動車総合安全プラン案を提示した。重点施策を見直すと同時に、事故削減目標で新たに重傷者数を加えたことがポイント=表。各業態で特徴的な事故の削減目標も設定し、トラックでは追突事故を3350件以下に抑える。
世界に誇る安全な輸送サービスを提供するため、行政・企業・利用者の「安全トライアングル」により、総力を挙げて事故削減に取り組むことが次期プラン案のテーマ。パブリックコメント(意見公募)を経て、3月までに決定し、4月から新たな計画を始動する。
運輸業界を取り巻く環境を踏まえ、プラン案では事故削減目標を見直す。トラック、バス、タクシーを合わせた全体では、24時間以内死者数を225人以下に設定。新たに重傷者数の目標も示し、2021人以下に抑える。人身事故は1万6500件以下、飲酒運転はこれまで通りゼロとする。
業態ごとに特徴的な事故の削減目標を設けたことも変更点の一つで、トラックは追突事故件数を3350件以下にすることを掲げる。業界としての個別目標では、25年までに死者数を190人以下、従業者数を1280人以下、人身事故を9100件、飲酒運転ゼロとすることを目指す。
6つの重点施策で対策推進
目標達成に向けては、6つの重点施策を柱に各施策で細かな取り組みを進める。例えば、安全・安心な輸送サービスの実現では、新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン(指針)の周知徹底を図るほか、高度な点呼機器の活用によるIT点呼の対象拡大検討や、働き方改革の政府行動計画の施策を推進する。
悪質な法令違反の根絶では、飲酒運転対策を強化すると同時に、運転中に携帯電話などを操作する「ながら運転」の全事案の監査や、「あおり運転」の悪質性・危険性の啓発を進めていく。関係者の連携による安全体質の強化に向けては、事故統計から各業態の特徴を分析し、対策を検討。トラックについてはASV(先進安全自動車)に加え、車両周辺の支援機器、アルコールインターロック装置などの安全対策機器の導入を促進する。
次期プランが始動後、国交省は従来通り、本省と地方運輸局で定期的にフォローアップをしていく方針。目標の進ちょくを定量的な指標で確認しつつ、交通事故の要因分析を踏まえ、必要に応じ新たな施策を検討する。