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21/01/05

国交省自動車局21年度予算案、コロナ教訓踏まえ非常時支援など展開

 国土交通省自動車局の2021年度予算案が決定した。一般会計の総額は20年度比3%減の18億8600万円。安全・安心の確保、働き方改革の他、感染症、自然災害など非常事態の際、自動車運送業が事業継続できるよう、平時から運輸企業の備えを支援する。
 非常時に備えた体制強化では6500万円を計上した。このうち、トラックは荷主、運送企業、地方自治体でつくる協議会で防災・減災の課題を整理すると同時に、新型コロナウイルスの感染拡大で特に品不足となった貨物の輸送課題を調査する。緊急時の人材確保・育成や中継輸送の取り組みも調べる。
 新型コロナを機に、非接触でより効率的に業務を行える環境が求められたことから、IoT(モノのインターネット化)による取り組みも支援していく。例えば、運行管理者が事務所のパソコンから車両をリアルタイムに把握し、必要に応じ配車するシステムの実証実験などを展開する。
 働き方改革の推進には20年度比10%減の8500万円を充て、ドライバーの労働実態を調査するとともに、長時間の荷待ちを強いる荷主の通報制度についてさらなる活用方策を検討する。荷主との取引適正化に向け、民間の求荷求車システムが持つデータを、国の施策にどう活用できるかも検討していく。

健康起因対策今年度比増に

 運行管理の高度化には同88%増の2400万円を確保した。AI(人工知能)搭載の点呼機器の実証実験を通じ、運行管理者の判断や指示より高い水準で安全性を担保できるかを確認した上で、今後の点呼機器認定制度の構築につなげる。
 運送業の安全対策に関しては、企業が車両機器を購入時、費用の一部を補助する事業に同2%減の8億5300万円を計上。健康起因事故の防止対策には同36%増の5500万円を充て、健康診断や人間ドックの結果を活用し、ドライバーの健康管理に取り組む企業の優良事例を調査したり、緑内障をはじめとした視野障害と事故の関連を検証したりする。
 また安全関連の新規事業では1000万円を使い、災害時の移動困難者の非難支援や、緊急物資輸送を円滑化する取り組みを展開。地方自治体や他の交通企業との協定締結の好事例をまとめ、自治体や企業に連携促進を働き掛ける。水害発生時に企業が講じるべき対応の指針も策定する。
 この他、自動運転関連では自動配送ロボット制度の整備を目的に、新たに2000万円を確保。政府が掲げる今年度以降の制度設計の基本方針の決定に向け、公道実証やロボットの性能要件の検討に充てる。