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20/12/24

厚労省、ワクチン供給方法公表

 厚生労働省は12月10日、新型コロナウイルスワクチンの供給方法を公表した。国は3メーカーから計2億9000万回分のワクチンを供給することで合意しているが、一部製品は温度管理が難しく、供給方法の早期構築が求められていた。

 ワクチンは、国が月2~3回、都道府県に供給数を割り振り、それを基に都道府県が各市区町村に配分する。流通に関わる卸は、日本医薬品卸売連合会などが決め、医療機関への配送で混乱が生じないようにする。医療機関向けには、国がマイナス75度を保てるが使うディープフリーザー(超低温冷凍庫)を3000台、マイナス20度を保てる冷凍庫を7500台調達し、適切に保管できる体制を整える。

卸介すか否かがポイント

 供給されるワクチンは各メーカーで温度管理が異なることから、卸を介すケースと、介さないケースに分けて流通体制を構築していく。  例えば、マイナス90~マイナス60度で保管しないと品質が劣化するファイザーのワクチンは、卸を介さず医療機関に輸送する。具体的には、海外の工場から輸入後、ファイザーが指定したマイナス85~マイナス60度の超低温機能を持つ物流企業の倉庫に納入。ファイザーが手配したトラックで、ドライアイスの詰め替えにより、10日程度保管できる保冷ボックスで医療機関に配送する。ワクチン輸送の最小流通単位に基づき、1つの医療機関に対し、1回当たり1000回分を配送する。

一部はインフルと同じ方法

 一方、武田製薬工業・モデルナとアストラゼネカのワクチンは、卸を介して流通する。マイナス15~マイナス25度での保管が必要なモデルナの場合は、まず武田が確保する倉庫で保管。その後、マイナス40~プラス10度、もしくはマイナス24~プラス5度の低温機能がある卸の倉庫に輸送し、卸の担当者や、手配した物流企業が車載可能なディープフリーザーに詰め替えて医療機関に運ぶ。

 保冷温度が2~8度と、インフルエンザワクチンと同様の方法で扱えるアストラゼネカのワクチンは、同社が手配した冷蔵倉庫で一時的に保管。保冷トラックで卸の倉庫などに届けた後、モデルナと同じく卸の担当者などが、保冷ボックスに入れた状態で医療機関に配送する。

 ワクチン接種時に使用する注射針、注射器については、国がワクチンの配分量に応じ、医療機関への配送量を調整する考え。円滑な流通に向け、新たに国内の流通状況を把握可能なシステムを構築し、メーカーや卸、自治体などが分配量、在庫情報を共有できるようにする。