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20/12/08

トラックの経営状況調査、1割超が収入2割以上減

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、トラック運送企業の厳しい経営が続いている。国土交通省の調査によると、10月の運送収入について、回答企業の1割以上が対前年同月比で「20%以上減少した」と答えた。収入の大幅減は夏がピークだったが、依然として「異常な経営環境」(国交省)で、各社とも少なくとも年内までは続くと予想している。
 10月の運送収入を尋ねたところ、前年同月比で「20%以上減少した」と答えた企業は12%。「10%以上減少した」と合わせると、全体の33%を占めた。11~12月の見通しでも、1割以上の企業が20%以上の収入減と回答した。
 特に業績に大きな影響を与えている品目は自動車関連で、例えば、鉄鋼厚板などの素材は、10月に入っても同17%減だったと回答。完成車、自動車部品も同10%減と、荷動きの低迷が足かせとなっている。
 運送収入が20%以上落ち込む企業は、緊急事態宣言の影響が顕在化した5月から急増し、8月まで全体の2割以上を占めた。9月以降はやや落ち着きつつあるが、「(例年に比べると)収入が1割以上減少する経営環境は異常」と国交省。壊滅的な被害を受けた旅客に比べると、「貨物は救われている」と話す荷主がいることを指摘し、「トラックの状況も非常に厳しい」と分析した。
 実際、経営環境の悪化から、資金繰り支援を受ける企業も高止まりしており、調査では全体の34%に当たる43社が、政府系、民間の金融機関による融資や、国の持続化給付金を「給付済み」と回答。従業員の休業手当を補助する雇用調整助成金についても、36%が給付を受けたと答えた。
 厚生労働省は来年2月まで、雇用調整助成金の日額上限を引き上げるなどの特例措置を延長しており、国交省は「資金繰りや税制措置を含め、トラック運送企業を支援したい」としている。