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20/12/08

国交省、あおり運転の処分強化

 悪質な法令違反の防止に向け、国土交通省は11月27日、行政処分の基準を強化した。「あおり運転」をしたドライバーに対し、運送企業が必要な指導や監督を行っていなかったことが監査で見つかった場合、事業停止処分をできるようにした。同省は「公安委員会と対策を進めていく」としており、トラックを含む運送各社は教育の徹底が求められそうだ。
 監査方針と行政処分基準の見直しは、6月に施行した改正道路交通法を受けたもの。同法ではあおり運転を妨害運転罪として規程。幅寄せや蛇行運転、急な車線変更、車間距離の不保持など10項目を定め、違反者には3年以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金を科す。交通の危険を生じさせる場合は5年以下の懲役、100万円以下の罰金の対象となる。
 一方、事業用自動車のあおり運転防止に向け、国交省はドライバーだけでなく、企業にも行政処分を行える環境を整備する必要があると判断。慎重に検討を重ね、道路運送法と貨物自動車運送事業法に基づく通達を改正し、法令違反をしたトラック、バス、タクシー企業に必要な処分ができるようにした。

 

公安の通報基に監査を実施

 具体的には、公安委員会からの通報を基に、国交省が該当企業への監査を実施。企業が指導や監督を行わず、ドライバーがあおり運転をしたことが分かった場合は「3日間」の事業停止処分を科す。あおり運転の結果、重大事故を起こした場合は、事業停止処分の期間が「7日間」になる。

 

ドライバー教育徹底重要に

 国の定める輸送安全規則では貨物、旅客を含め、全ての運送企業にドライバーへの指導・監督を実施し、道交法などを正しく理解させることを義務付けている。
 仮に企業が必要な教育を行っているにもかかわらず、ドライバーが独断であおり運転をした場合について、国交省は「それだけで事業停止処分とすることはない」としている。運送各社は改正道交法の内容を踏まえ、他の車を妨害する運転の危険性や問題を、改めてドライバーに教育する必要がありそうだ。
 あおり運転が社会問題となる中、2019年の車間距離保持義務違反の取り締まり件数は前年比16・7%増の1万5065件となるなど、警察庁は対策を強化している。国交省も事業用自動車の安全にはより踏み込んだ取り組みが必要との考えで、「公安委員会と連携しながら、あおり運転防止を徹底したい」としている。