• 統計・データ

20/10/06

中小企業、運輸業では男性育休の義務化に8割が「反対」

 日本商工会議所が9月24日に公表した中小企業を対象とした「多様な人材の活躍に関する調査」によると、運輸業では81・5%の企業が男性社員の育児休暇取得の義務化に反対していることが分かった。業界の慢性的な人手不足が背景と見られる。一方、運輸業の外国人材の受け入れニーズは37・7%と低迷。受け入れには煩雑な手続きや制約も多く、人材確保の障壁となっている。
 男性の育休取得について、「義務化は反対」および「義務化はどちらかというと反対」と回答した企業の割合は全体の70・9%。業種別ではトップの運輸業81・5%に次いで建設業74・6%、介護・看護業74・5%と、人手不足感の強い業種で「反対」の回答が多い。


 「外国人材の受入れニーズがある」と回答した企業は、全体の約半数。業種別では介護・看護業や宿泊・飲食業で7割にのぼるが、運輸業は逆に6割が外国人材の受け入れニーズは「ない」と答えた。
 すでに外国人材を雇用している企業は全体の23・5%で年々増加しているが、特定技能外国人の雇用は手続きの煩雑さや在留期間の上限などのハードルも多い。このほか、調査結果では「自社の日本人社員とのコミュニケーションが不安」、「受入れ手続きがよく分からない」、「受入れに係る費用負担が過大」など、課題が多岐にわたることが分かった。


 政府が実施すべき取り組みとして「外国人材に対する日本語教育の充実」、「日本で暮らしやすくするための社会の構築」、「外国人材の受入れ対象分野の拡大」などの回答が寄せられた。また、受け入れ企業向け支援策として「雇用などに関する手続きの簡素化」、「制度概要や受入れ企業の要件、手続きに関する情報提供」、「外国人材の受入れに関する相談機能の拡充(窓口相談)」などの要望が挙がった。
 調査は多様な人材の活躍に関する状況を把握する目的で、2020年7月16日~8月7日、全国の中小企業6007社を対象に実施し、2939社の回答をまとめた。生産年齢人口の減少で女性・外国人・高齢者といった多様な人材の活躍が期待されるなか、新型コロナウイルスの影響による雇用・就業環境の変化も踏まえて分析し、今後の意見・要望活動につなげるという。