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19/06/25

事業停止、前年度比2倍/国交省 平成29年度監査/適正化へ動き強める

 国土交通省が全国の運送会社を監査した結果、平成29年度の事業停止処分が前年度比倍層の39件だったことが分かった。このうち、7割超が運行管理者の未選任、全ドライバーへの点呼の未実施などの場合に科す30日間の事業停止処分だった。同省は法令違反の疑いが高い企業に重点監査を行っており、業界の適正化の動きを強めている。

この5年間の行政処分件数の推移

 

 国交省によると、平成29年度の監査実施件数は前年度比283件増の6319件。このうち、1374件(前年度比90件増)に処分を科した。勧告・警告は285件だった。

 内訳は事業停止処分が39件となり、4年連続で前年度を上回った。一定期間車を使えなくする車両停止処分は1310件(同88件増)。事業許可取り消しは25件で、前年度より16件減少した。

大半が30日事業停止に該当

 運送会社の監査について、国交省は6年前の関越道高速ツアーバス事故を機に、行政処分基準を大きく転換。監査で、㈰営業所での運行管理者や整備管理者の未選任㈪全ドライバーへの点呼の未実施㈫改善基準告示違反——などの重大な法令違反が見つかった際、30日間の事業停止処分を科す制度を新設した。

 また監査体制の見直しにも着手。警察や労働基準局などの情報も活用し、法令違反の疑いがある悪質企業を重点的に回ることで、監査の精度と効率化を進めている。

 29年度の事業停止処分が前年度より大幅に増えた要因に関し、「対象を絞った監査をした結果、多くの法令違反企業の確認につながったのではないか」と国交省。30日間の事業停止処分を開始以来、事業停止処分を受けた営業所の大半を占めており、「昨年度も39件のうち29件が該当した。中でも運行管理者の未選任や、改善基準告示違反が目に付く」とする。

労務関連違反も厳しく

 一方、今年7月に始まった労務関連法令違反の行政処分強化の対応については「具体的な報告はこれからだが、基準通りに粛々と対応する」と国交省。処分量定の引き上げ対象のうち、特に改善基準告示で定める月の拘束時間(293時間以内)は過去の監査で見つかるケースがあるという。

 国交省は「企業に法令を守ってもらい、適正な競争環境をつくることが大事」としており、業界の適正化に向けた動きを強化していく。