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19/07/28

大和ハウス/物流切り口に定温事業参入

 全産業で人材不足が進む中、労働集約型産業の物流に目を付け、収益拡大につなげようとする企業が目立つ。住宅や商業施設など不動産開発の大手、大和ハウス工業は物流不動産を成長ドライバーと位置付け、2002年から「Dプロジェクト」と名付けた開発を全国で展開。現在、開発総敷地面積は820万平方メートルを超える。
 大和ハウスは大和物流とダイワロジテックを傘下に置き、物流業そのものも拡大させてきた。前者は建材、後者は衣料にそれぞれ強みを持ち、今年3月には食品物流を得意とする北陸の若松梱包グループを買収した。食における物流領域を手に入れ、生活の基本である衣食住全てを網羅した物流サービスを手掛けることができるようになった。

若松梱包買収で衣食住網羅

 若松梱包は早期に4温度帯の食品共同輸送クロスドッキングを行い、小口多頻度配送で豊富な実績がある。医薬品物流も手掛ける。大和ハウスは需要のある低温物流のノウハウを取り込み、関連会社が行う商業施設の運営などと組み合わせ、開発から物流までの包括的な支援を通じ顧客を取り込む狙いがある。
 具体的には、ショッピングセンターなどの大規模商業施設やスーパー、コンビニなどに対して、若松梱包による低温物流サービスを提案していく。若松梱包は大和ハウスの仲介により商機が広がる。北陸地区から着手し、需要の多い関東での展開を視野に入れる。

アセアンの物流施設に低温

 一方、海外では近年、アセアンでの物流施設開発を積極化。低温の物流施設を造るための建物仕様でも、若松梱包グループの経営資源を生かす。現在、ベトナム、インドネシア、タイで物流不動産事業を展開しており、マレーシアでの実施も検討中だ。
 現地に進出する日系企業からの低温仕様の施設開発ニーズに応え、海外での物流不動産事業のさらなる拡大につなげる。大和物流やダイワロジテックなどが物流業務を請け負う青写真も描く。