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23/04/26

DIC、サプライチェーン最適化へデジタルSCM 25年までにグローバル展開

 化学メーカーのDIC(本社・東京、猪野薫社長)はデジタルSCMプラットフォーム(基盤)の運用を開始した。デジタル技術を活用し、60を超える国・地域にまたがるサプライチェーン(SC、供給網)を最適化。顔料・樹脂をはじめとする主力事業の一部エリアから導入し、2025年までにグローバル展開を目指す。
 SCMプランニングツールとして、カナダのキナクシス社の必要な分だけ使えるソフトウェアサービス「SaaS」型デジタルツールを採用。デジタル技術で世界中の組織・地域の境界を取り除き、需要を一元管理する。また、属人性を排除し、キャッシュフロー改善・顧客サービス率向上・業務の効率化などのパフォーマンス指標(KPI)を設定。KPI情報を国際的に可視化・共有する仕組みも導入する。在庫適正化・納期順守率の向上、欠品などに伴う各種調整業務の削減を図る。
 世界中の各拠点で別々に作成している販売計画・在庫計画・生産キャパ管理などの情報をデジタルプラットフォームに統合し、全体を可視化。データ収集・計算・チェックなどの業務を効率化し、統計的需要予測の活用で計画精度を向上する。また、将来的には原料サプライヤー・製造委託先・物流企業・顧客企業らとのシステム連携を進める考えだ。
 サプライチェーン情報のデジタル化で、GHG(温室効果ガス)排出量の計算・可視化も可能。サプライヤーらを含めたサプライチェーン全体で、カーボンニュートラル(炭素中立)の実現に向けて取り組む。

デジタルSCMプラットフォームの概念図。世界規模でサプライチェーンの「全体最適」を目指す